2010年5月14日金曜日

AROUND THE KAVC 『人工衛星饅頭 大吉屋』


アートビレッジボイスと連動してブログでも掲載している「AROUND THE KAVC」。今回は湊川で52年間愛され続ける回転焼きのお店をピックアップ。KAVCついでに立ち寄ってみて下さい!


『人工衛星饅頭 大吉屋』
「『人工衛星饅頭』ってなに!?」インパクト のある赤のれんに誘われて道行く人々が不思議そうに覗くのは昭和33年から続く老舗の回転焼きのお店。人類初の人工衛星スプートニクが打ち上げられた翌年 に開店した同店は、その話題にあやかってこの名を付けた。
 「”円盤焼き”やからな」。創業者であるご主人がそう言うように、平たい丸い形は確か に”UFO”に見えなくもない!? が、その味は甘さを控えた自家製つぶ餡たっぷりの飽きのこない昔ながらの回転焼き。前から気になっていたという若者、近くに来たら必ず寄るというご婦人、 孫のおやつにとおばあちゃん。この味を求めて常連からはじめての客までが行列を作る。 30個が一度に焼き上がり行列が無くなっても、あっというまに次の行列。店内ではご主人が銅製の焼き型に生地を流し込み、餡を仕込み、ひとつひとつ丁寧に 裏返していく。テンポ良く焼くその姿を眺めながら出来上がるのを待つのも趣がある。
 創業当初は戦後の貧しい時代。10円で買えるこのシンプルな おやつを求めるお客さんが絶えず、5~6人の従業員に機械3台をフル回転させていた。今でも値段は1個60円。「勘定ばっかりしとったら人がよりつかん。 のんびりやらしてもらってる」。湊川で52年間も愛され続ける理由は、ご主人のこの人柄にあるのかもしれない。
神戸市兵庫区上沢通1-1 078-511-6355【10:00~19:00】不定休